第74話

加奈子は白い手でサラサラと俺にかかった足の砂を除けていく。




「綺麗な手やなー」




って、見つめてたら自然と加奈子の手を握ってた。




「な、名倉さん……っ!?」




加奈子は顔を赤く染めて恥ずかしそうに俯く。




「な、何やねん」




これぐらいで照れられたら、こっちが照れてまうし。




「あー!名倉君ったら俺がいるのに浮気だ~」




ひょっこり戻ってきた拓真君が俺に背後から抱きついてきた。




「ちょ、違うって。浮気なわけない……って、いやいや!浮気って何やねん。それより離れろや」




「え~。照れてるの?」




「アホかっ。男相手に照れるわけないやんけ」




不満げな声を出す拓真君を突き放して軽く睨んだった。



若干声が裏返ったけど。

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