第73話

「どのみち埋まってるしな。俺」




じっと見つめてくる加奈子に苦笑いを向けて、俺は自分の足に指を指した。



しっかりと砂が掛けられてるせいで、砂を除けんかったら足は抜けそうにない。




「ふふ。お城でも作る?」




加奈子は楽しそうに口もとを押さえて笑いながら、膝をついて俺の足にかかってた砂を除け始めた。




「アホか。作らんわ!!」



「名倉さんたら、負けず嫌い」



「何が負けず嫌いやねん」



「意地張ってないで、私と砂で愛のお城を作りましょう?」



「愛のとこだけ強調すんなや」




わけわからんなこいつ。



天然なんか、計算なんか全然わからん。

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