第71話

「泳ぎに行かんの?」




「うん」




砂浜を走る山崎を眩しそうに見つめて小さく頷いた成宮に、俺の悪戯心が刺激される。




「あ、成宮。ほら、見てみ?あそこに居る男連中さっき山崎ガン見してたで?」




「……え?」




ホンマは見てなかったけど。




焦った顔で俺の指さした方を成宮が見た瞬間、笑い転げそうになった。




何やねん。



イチャイチャしやがって。



俺、1人身で片想い中やのに。





いやいやいや!



ちょっと待て!誰に片想いしてんねん。



ない。ないぞ。違うしな。




至ってノーマルな俺は水着男子になんか悶えへん。




別に拓真君の海パン姿見ても全然テンション上がらんし。




ただ、落ち込んだだけで……。




違う!落ち込んでない!普通や。




俺、女の子大好きやし。




そう例えば……




「名倉さん。泳ぎに行かないの?」




加奈子みたいな子とか……。

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