第70話

結構な量を被せられた砂は意外と重くて、足を引き抜こうとしてみたけど全然抜けそうにない。




「名倉! 敗れたり!」




「何を将軍ぶってんの。山崎ホンマないわー。抜けへんやん」




ものすっごい嬉しそうに仁王立ちする山崎に苛立ちが募る。




水着の肩紐抜いてキャーキャー言わしたろかな…っとさえ思ってしまう。




「そこで反省してなよ」



「そうだよ! みーちゃん行こ?」




山崎だけじゃなく、凛ちゃんまで俺を責め立てた挙げ句に放置しようとしてくる。





……このまま放置されたら本気でギャル男になるやんけ。




「ちょ、待てや」



「やだ」




山崎たちは一言素っ気なくそう言うと、埋まったままの俺を放置して海に向かって走って行った。




残された俺と成宮の間に何故か沈黙が流れる。

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