第58話

慌てて体を押し退けようとしてきた美優を押さえて、ネクタイをするっと外した。




「あ……。」




美優はぴたっと動きを止めて俺を見つめてくる。




俺もネクタイをベットの端に置いて美優を真っ直ぐ見つめた。





切なく潤んだ瞳に見つめられて、ドキドキしてくる。




そう言えば付き合う前にネクタイを外した時も、今と同じ反応してたっけ。




あの時は心底ドキドキして、本気で抱いちゃおうと思った。




今もそうだけど……。




あの時よりも今はもっと好きだ。




どうしようもなく愛しいと思ってしまう。




大事にしてあげたい。




「成宮君…私のこと好き?」




美優が離れて行かないように。




「好きだよ。」




そう言葉を落として、美優の背中に腕をまわしてギュッと抱き締めた。

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