第56話

──結局、俺は美優を家の中に連れ込んだ。




拓真もバイトで夜まで帰って来ないし、邪魔をする人は誰もいない。




「入って?」




ドアを開けて半ば強引に美優を部屋の中に押し込む。




「え?あの……。」




ドアを閉めると同時に戸惑う美優を腕の中に閉じ込めて、唇を指でなぞった。




「え?な、成宮君……っ!?」




「うん。なに?」




離れようとする美優をしっかり抱き締めて、指で美優の顔を上に向かせて顔を近付ける。




「ま、待って……!」




「ダメ。待たない。」




押し返そうとしてくる美優を無視して強引に唇を落とした。




何度も唇を重ねて、美優を求めてしまう。




今日の俺、やばいかも知れない。




自分で自分を止めれない。




「ん…待…っ…」




「嫌なの?」




それでも暴れようとする美優のリボンを指でほどいてそう囁いた。




「嫌じゃないけど……。」




「けど…なに?」




「は、恥ずかしいもんっ……。」

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