第54話

「ね?お願い。」




可愛くお願いされて、何も知らない美優をこのまま本気で連れ込みたくなる。





明らかに怪しそうな雰囲気が漂うピンク街。




そこにあるメルヘンチックなお城。




目隠しをされた入り口。




ある意味アトラクションだけど……。




「いいけど……途中でやっぱり入りたくないって言われても入るよ?」




「いいよ!絶対言わないもん。」




意地悪で言ったつもりなのに、無邪気に笑って腕を絡めてくる美優を見て、罪悪感で胸がチクッと痛む。




それと同時にこのまま連れ込んで滅茶苦茶に愛したいとも思う。




本心としては行きたい。




俺だって男だし。




好きな女の子に理由はどうであれ行こうって誘われて嫌なわけがない。




いや、むしろかなり嬉しい。





けど……。

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