第44話

「そうなの?スーツも着てるし、私はてっきり……」




加奈子ちゃんはそう言ったあと、唇に指をあてたまま黙り込んでしまった。




「加奈子ちゃん?」




黙り込む加奈子ちゃんの名前を呼ぶ。




と同時に、親衛隊の面々は凛ちゃんの前で3人並んで片膝をついた。




「ここで凛ちゃんに偶然にも会えるとは……。僕は自分の持ち合わせている、ラッキーという運を全て使いきったのかも知れません」




「いつもの凛ちゃんの服装も最高にキュートですが、今日の服装はまた格別に素敵です。」




「凛ちゃんの麗しき瞳に私などの姿を映して頂けるとは、なんと有り難き幸せ……!」




「あ、あの……。」




思い思いに気持ちをぶつける親衛隊に凛ちゃんはオロオロしてる。




その凛ちゃんの姿に頬を染める親衛隊の面々。




……止めるべきだよね?




苦笑いを浮かべて眉を下げる凛ちゃんの前に立つ。




止めなきゃどんどんヒートアップして行きそうだし……。




止めて下さいって言わなきゃ……。



「おーい。新入りー。さぼってねーでキャッチ行くぞー。」

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