第34話
「あーあ。バレちゃった。」
「な、成宮君……!」
プリクラ機のカーテンを捲って兄ちゃんは俺たちを無表情で見つめる。
怒るのも無理ないよな。
どう見ても俺が無理矢理美優ちゃんを襲っているようにしか見えない。
険悪なムードなのに
"100円を入れてね"
なんてプリクラ機の機械の声だけが楽しそう。
「美優…おいで。」
はりつめた空気の中、兄ちゃんがため息混じりに美優ちゃんを呼ぶ。
「あっ…あの……。」
美優ちゃんは泣きそうな顔で兄ちゃんの傍に行きたそうにしていて。
「うん。ゴメン。」
俺は美優ちゃんの体を潔く解放した。
そのまま背を向けてプリクラ機の中から出る。
俺、バカだな。
結局兄ちゃんには勝てないのに。
勢いであんなことしてさ。
ホント、今日はついてない。
2人の愛はこんなことじゃ揺るがないって目の当たりにするどころか……。
「悪い子にはお仕置きしなきゃね?」
兄ちゃんが美優ちゃんの唇を奪ってるところまで見ちゃうなんて。
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