第35話

「おう。どこ行っとったん?」




何も知らない名倉君がレーシングゲームをしながら俺に聞いてくる。




さすがレーシングの神って言うだけあって1位だし。




「美優ちゃんを拐って密室に連れ込んでた。」




「……はい?」




「結局兄ちゃんに見つかっちゃったけどねー。」




「あぁ。そう言えば探してたな。」




あまり興味がなさそうに返事を返してきた名倉君は、堂々と1位でゴールして満足そうに笑みを浮かべた。




「おっしゃー!ナンパでも行くかー。」




「え?ナンパ?」




「可愛い子ちゃんと戯れようや。……な?」




楽しそうにそう言った名倉は俺の頭をぐしゃぐしゃに撫でてくる。




きっと俺のことを心配してくれてるんだろうな……。




やっぱり俺ってついてるよ。




だって、こんなに最高の友達がいるんだもん。




それにしても……。




「ナンパって、さすが恋愛の神。チャラいね」




「チャラないわ!お、俺は一途やぞ。」













拓真side──fin────




「そう言えば加奈子ちゃんは?」


「番号交換したら帰った。」


「チャラ男だ。」


「あ、あほか……!」

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