第21話
そして小さくため息をつき──
「どうして別れると思ったの?」
切なげに、でも射るような目で私を真っ直ぐに見つめてきた。
「……え?」
それは別れに怯えていた私が予想さえもしていなかった言葉で。
思わず間抜け面で成宮君を食い入るように見つめ返してしまった。
「俺、美優を不安にさせるようなこと……した?」
そう言って不安そうな表情で、私を抱き締めてきた成宮君の真意は
"別れを望んでいない"
そう捉えるには容易くて。
「さっきの拓真のこと?もう怒ってないよ?」
そう確かめるように聞いてくる成宮君に、
"ポテト"のことなのか
"キス"のことなのか
「………うん。」
どちらかは聞けなかった。
ただ別れたくない気持ちで一杯で、私はそのまま黙って泣くことしか出来なくて。
「それに、美優は何も悪くないから。」
そんな私に優しく微笑んで涙を指で拭ってくれる成宮君に罪悪感でいっぱいになった。
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