第20話

大声で叫んだせいで、周辺に居た人達が何事かと視線を向けてくる。




誰がどう見ても、泣きながら成宮君にすがり付く私は、痛い女の子だ。




でも、そんなのどうだっていい。




人目だとか、常識だとか関係ない。




「別れたくないよ……っ」




別れたくない。




終わりになんてしたくない。




成宮君と別れるなんて……。




私…無理だよ。




「なに…言ってるの?」




そう言って振り返った成宮君の顔は一目で解るくらい怒っていて。




その怒りを露にした姿にギュッと胸が締め付けられる。




そうだよね……。




こんな、人が大勢いる前で叫ばれたら成宮君だって恥ずかしいはず。




それなのに……。




私、底なしのバカだ。




自分のことで精一杯で成宮君の気持ち全然考えてなかった。




「ごめん……。」




底なしのバカな私は、唇をキュッと結ぶ成宮君にそう謝ることしか出来なくて。





でも、成宮君は……。




「別れるわけがない……。」




顔を背けて震える声でそう言った。

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