第18話

成宮君に引かれるがままに、ファーストフード店から出た私。




私を連れて黙々と繁華街を通り抜けていく成宮君は、




怒っているのか……。




呆れているのか……。




私を全く見ようともしなくて。




いつも通りがやがやと騒がしい繁華街に反して、私たちの間には嫌なくらい沈黙が続く。




「ヒック……。」




その沈黙の中、頭に過るのは"別れ"の三文字で。




それまで静かに流れていた涙が、嗚咽が漏れてしまうくらい、溢れてきた。




忙しく人が行き交う街中も




日が落ちて来て、光が灯っていくネオンも




黙々と歩いていく成宮君の背中も




止めどなく流れ落ちる涙のせいで私には全てが霞んで見えて。




ぽとぽと零れ落ちては消えていく涙が……




まるで私たちの未来を予言しているみたいで、不安な気持ちでいっぱいになる。

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