第17話

──ガシャン──




手から滑り落ちたジュースが音を立てて床に落下した。




氷がバラバラと床に散らばる。




それを見た拓真君は悪戯っ子のような笑みを浮かべてて。




"故意にした"




その表情からその真意を読み取ることは容易くて。




「美優……?」




驚いた顔をする成宮君に泣きそうになった。




「あ…ビックリした。このカップよく滑るね。」




苦し紛れにそう言って、床を片付ける為にしゃがみこんだ私。




胸がドキドキと嫌に騒ぎたてる。




………バレバレなくらい動揺してしまった。




成宮君、怖いくらいに勘が鋭いのに。




もう気付かれてしまったかも知れない。




そう思ったら、涙が頬を伝ってポタポタと床に零れ落ちた。




バカだ私。




隙を見せるなって成宮君に言われたのに。




隙だらけで全然治ってないじゃん。




今度こそ愛想を尽かされる。




「2人で話そっか。」




神様は残酷で。




私に追い討ちを掛けるように、言い逃れを出来ない状況に陥らせる。




頬に伝う涙を拭ってくれた成宮君はいつもと何も変わらずに優しくて。




でも、その表情は辛そうで。




私の手を引いて歩き出す成宮君に罪悪感で胸がいっぱいになって、さらに涙が込み上げた。

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