第12話

何となく、名前の響きが自分と似ていることも少し気になる。


とはいえ”カナ”なんて名前はよく耳にする名前ではあるし、私だって”ナナ”という名前で生きてきて…何度も同じ名前の人に出会ったことはある。




……しかし、、



長く颯斗と一緒に過ごしてきたが、学生時代にも社会人になってからも…”香菜”という漢字の女友達が居たことは無い。




っとなると、お店のスタッフの人とか後輩とか?もしかしたらトラブルとかで連絡先をお客さんと交換した可能性だってあるし……




いや、でも…もしお客様だとしたら、”○○さん”とか”○○様”と登録しそうだな。ってことはやっぱり同じお店で働くスタッフの一人、、





「─…菜々?おい、聞いてる?」




考え込んでいたせいで、すぐ近くに颯斗が立っていることに気が付かなくて…突然声を掛けられてとても驚いた。




「えっ…ごめん、なんか言った…?」



ひと口ほど残っていたロールキャベツを口の中に放り込み、”香菜”という文字を頭から消し去ろうと必死で咀嚼して喉に流し込む。

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