第3話
「…
夜、二人でソファーで深夜のバラエティー番組を見ているときや、お互いの仕事が早く終わった時など…こんな風に颯斗の方から誘ってきてくれて身体を重ねることも少なくはなかった。
ハッキリとした言葉は無かったが、高校の頃…友人の一人に「お前らいい加減付き合えば?」なんてド正論を言われたことがあって、、その時に颯斗は─…
『……は?菜々と俺、付き合ってるけど?』
なんて。颯斗の中で私たちは付き合っていることになっているのだ、とその時初めて知って。
『そーだよな?菜々、お前俺の彼女だろ?』
幼いころから颯斗に恋心を抱いていた私にとってその言葉は何よりも嬉しいもので、何度も首を縦に振って頷いたのをよく覚えている。
∴
そんな私たちはお互い大人になり、それぞれ美容師と歯科衛生士として働いているわけなのですが、、、
一緒にいる時間が長すぎたからなのか、そばにいて当たり前…みたいな存在として扱われているのか。
「ねぇ…颯斗、」
「…なに?てかお前、体温高すぎ。暑苦しい」
離れろ、なんて言って距離を置かれる。以前のように颯斗から私を誘ってくれるようなことは極端に、、減ってしまった。
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