両想いの果て②



 結局、ロングホームルーム内に皆の面談は終わらなかった。



 放課後、残された最後の私。

 柚木先生には部活に遅れる旨を伝えて、教室で待機をしていた。





「……平澤、すまんな」

「……」




 一旦職員室に戻っていた先生。

 厚めのノートと筆記用具を持って、教室に戻って来た。


 私の隣に座る先生。

 優しそうに口角を上げている表情を見て、思わず私は唇を噛んでしまう。




「早速なんだが、進路は……大学進学って希望票に書いてあるけれど。間違いないか?」

「……はい」

「因みに、行きたい大学とか、何を学びたいとか。そう言うのは決まっている?」

「いいえ」

「……そりゃ、出遅れているな」

「……」




 高校入学してから、河原先生のことばかりで。進路なんて全然考えてなくて。私自身、自分が何をしたいのかも……全く分からない。




「まぁ、でも」




 そう言って手を叩き、また微笑む河原先生。




「大丈夫、今から取り戻せば。相談にも乗るし、また進路について……教えてな」

「……はい」




 胸が……痛い。


 『好き』の真相を聞き出してやると、心に決めていたのに。いざ言葉に出そうとすると、何故か胸が痛んで……苦しい。



「……じゃあ、他になんか話しておきたいことはあるか?」

「………」

「平澤?」

「…………っ」






 今しか、ない。



 ここしかない。



 そう思い、意を決した。





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