形の無い想い②
「平澤さん、家まで送ります」
部活終了後、柚木先生は泣き腫らした私にそう声を掛けた。
「そんなにご迷惑をおかけできません」
「良いです、僕がそうしたいので」
「……」
河原先生が去った後の部室は酷く重たい空気が流れ、何だかいつも以上に気まずかった。
結局、河原先生の気持ちは全く分からないし、どうしたものか……。
「……平澤さん。何を悩んでいるのか分かりませんが、大人しく僕に送らせて下さい」
「…………はい」
俯いたまま小さく返事をすると、柚木先生は背後から私を抱きしめた。
辛い。
もう、柚木先生も、河原先生も、どうしたら良いのか分からなくて辛い。
河原先生のこと、好きにならなければ、良かった。
私が河原先生に告白したから、全ての歯車が狂い始めているんだ。
最近はそんな自己嫌悪感に支配されていて、胸が押し潰されそう―――……。
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