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「平澤さん、家まで送ります」



 部活終了後、柚木先生は泣き腫らした私にそう声を掛けた。



「そんなにご迷惑をおかけできません」

「良いです、僕がそうしたいので」

「……」



 河原先生が去った後の部室は酷く重たい空気が流れ、何だかいつも以上に気まずかった。



 結局、河原先生の気持ちは全く分からないし、どうしたものか……。




「……平澤さん。何を悩んでいるのか分かりませんが、大人しく僕に送らせて下さい」

「…………はい」




 俯いたまま小さく返事をすると、柚木先生は背後から私を抱きしめた。




 辛い。

 もう、柚木先生も、河原先生も、どうしたら良いのか分からなくて辛い。






 河原先生のこと、好きにならなければ、良かった。



 私が河原先生に告白したから、全ての歯車が狂い始めているんだ。






 最近はそんな自己嫌悪感に支配されていて、胸が押し潰されそう―――……。





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