【2】
形の無い想い①
分からない。
何も分からない。
河原先生のこと好きって言わないって告げた時、先生は安心するかと思っていた。
自分で言うのもおかしいけれど。
私って悪く言えば、断っても諦めてくれない面倒な人。
だから、好きって言わないって言葉は、河原先生にとって良いことだと思っていた。
面倒な人から解放された。そう思うのでは無いかと、私は思っていた。
それなのに河原先生は予想に反し、悲しそうな表情をして「そんなこと、言うな……」と小さく呟いた。
全く理解ができなかった。
私の想いに応えられないって言うくせに。
溝本先生と”そういう関係”のくせに、そんな曖昧な態度を取るなんて。
柚木先生は河原先生のことを『中途半端』と言う。
最初は理解できなかったけれど、これを機に分かったんだ。
確かに、河原先生は中途半端。
そして……そんな中途半端な河原先生の様子に、今もまだ可能性を見出してしまう。
河原先生の態度に傷付き、泣かされ、それでも諦められなくて、大好きで。
柚木先生の優しさに甘え、好意に浸かり、別の人を想い、突き放す。
……本当に、最低。
私は、どうしようも無い大馬鹿者だ。
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