第4章 先生と私と幼馴染

本音の行方

1




 夏休みが終わり、2学期に入った。



 何かと濃かった夏休み。相変わらず気まずさ全開で、今日からまた学校生活がスタートだ。




「はい、じゃあ……今日の連絡はこのくらいだ。2学期は行事も多いから、気を引き締めて頑張ろうな」



 いつものように出席簿をパタンと閉じ、眼鏡をクイッと押し上げる先生。



 そのまま教室を出るかと思ったら、私と目が合った。




「……平澤。お前は放課後、職員室出頭な」

「……」




 そう言い残して教室から出て行った。



 呼び出しなんて、気まずすぎる。



 実は溝本先生と河原先生の“あの件”以降、河原先生とは何度か顔を合わす機会があった。


 だけど何せ気まずくて、辛くて、会いたくなくて。


 河原先生は私に話し掛けようとしていたのだが、私の方が一方的に先生のことを無視していた。




「………」




 河原先生と、2人で話したくない。




「……」




 沢山悩んだ、その日の放課後。

 私は河原先生の出頭命令を無視して、いつも通りボランティア部の部室に向かった。





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