【6】

薄い関係 side 河原①

(side 河原)




 朝、出勤して早々溝本先生に呼び出された。



 少し呼吸の荒い彼女。

 昨日行ったホテルでの快感が忘れられず、身体が落ち着かないと言う。



「……今日も、行きませんか?」

「昨日も行っただろ……」

「私、河原先生になら毎日でも、抱かれたい」

「………」




 こうなると、面倒くさい。




 最初こそ、お互いの利害が一致しているからという理由で始まった関係。そこに違う感情まで持って来られると、俺が耐えられない。




「まだ朝だ……。盛るな」

「無理です。昨日のこと思い出すだけで、身体が言うことを聞きません……」

「馬鹿だな……」




 そう言って突き放し、宿直室から出ようとした。


 しかし、そんな俺の腕を引っ張って動きを止める。




「……」




 勢いよく近付いてくる溝本先生の唇。


 潤んだ瞳で見つめられ、思わず嫌悪感がした。




「……」




 激しく重ねられる唇。

 侵入してくる舌。



 その瞳から滲み出る別の感情。

 それにまた、溜息が出そうになる。




 俺は身体だけの関係で良いのに。




 それ以外は、不要だ……。





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