特別な感情②



「……河原先生に、告白した」

「はぁ!?」



 翌日の朝。


 学校に行くのが少し憂鬱……という感情は抑え、今日もきちんと登校をする。


 いつも一緒に行動している、幼馴染の渡津わたづ愛理あいり三崎みさき圭司けいじの3人で。



「菜都、告白は駄目だよ。担任なのに気まずいよ、絶対」

「それでも抑えられなかったんだもん」



 愛理と圭司は2人とも頭を抱えながら少し俯いた。



「しかし……何でよりによって河原なんだよ。菜都の心情が心配」

「何でって……。圭司にはない、大人の魅力が素敵だから。圭司と河原先生は同じ名前なのに、比にならない」

「何それ、俺と比較しないでくれる!? てか、読みが【けいじ】で同じなだけで、漢字は違うから!」



 3人横に並んで、ギャアギャア言いながら学校を目指した。騒がしいのは、いつも通り。




 本当は、河原先生とは年の差がありすぎることは分かっている。


 両親の方が、先生と年が近いし。

 何より私では釣り合わないってことくらい分かっている。


 だけど、そんなことどうでも良いと思うくらい好きなんだ。河原先生のことが。



 勿論、きちんと河原先生のことが好きな理由もある。でもそれは、またのお話。



「菜都のこと昔から知っていて理解しているつもりだけどさ。河原先生に片想いだけは、どう頑張っても無理だわ。理解できない」

「こんな小さい学校で気まずくなったらどうすんだよ」



 良いよ。

 理解できなくても。


 誰かに理解して貰いたいとは、思っていないから。それは例え幼馴染でも例外は無い。




 そんなこと思いながら、1歩ずつ歩みを進める。


 学校の校門まで、あともう少し。





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