第78話

アタシは首を横に振る。



「できない…できない。」



声にならなかった。

サツキを失いそうで、それを防ぎたいと思った。



「サツキ…」



「それは自分勝手っていうの。」



サツキの口調が強くなる。



「今更淋しくなったの?」


アタシは返事ができない。



「あからさまに避けて、俺が離れようとしたら惜しくなった?」



「…わからないの、」



「なに、が?」



アタシはサツキをどう好きなのか。



「サツキはもう幼なじみには戻ってくれないの?」



「うん、悪いけどその気はないよ。選ぶとしたら、まあ知らない他人になるか……」



サツキは視線を別にずらしてそう言ってまたアタシに視線を戻す。



「俺を婚約者として傍に置くかだよね。」

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