第75話

最後の剪刃の音がした。



「終わったよ、あと消毒するから。」



「あ、ありがとう…ございました。」



アタシはサツキが縫合した場所を見る。

それは凄くキレイだった。


さすが外科医だなって感心してしまう。



「敬語とか勘弁してよ、他人みたいで。」



サツキは消毒するとテープを貼って包帯を巻いていく。



「他人…だし。」



アタシがそう言うとサツキは立ち上がって帰り仕度を始める。



「守衛でタクシー呼ぼうか。」



「あ、大丈夫アタシ歩いて帰れるから。」



自分も椅子から立って荷物を取ろうとしたけどそれをサツキに奪われる。



「主治医の言う事は聞いて下さいね?平井さん。」



…サツキは薄く笑って処置室を出て行った。

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