p.14

このストロベリーティーにそこまで想う気持ちがあるものだろうか。


かなめは「あり得ない」という顔で右の眉をつりあげて島崎の顔を覗いた。



「あの、ほら…私、フルーツティーは苦手なのよ。言ってなかった?」


「お嬢様にお使えして早二年。一度たりともそのようなことは…しかしながら、お嬢様の好き嫌いに気づかなかった私も執事として___」


「あーもう!うるさいわね。嫌いって言ったら嫌いなの!もう出さないでくれればそれでいいわ」


「かしこまりました」



一々面倒なこの反応も、島崎がわざと楽しむために言っていることはわかっている。


こういう男なのだから。



かなめは大きくため息をついてから執務室に向かった。

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