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普段は空のカップに目の前で紅茶を注ぐ島崎だが、今回はどうやら違うらしい。
薄切りされた苺とピンクの液体が垂れたカップに、島崎が「失礼致します」と言って紅茶を注ぐ。
湯気が立つと同時に、甘酸っぱい香りがかなめの鼻をくすぐった。
最後に苺のへたと思わしき葉っぱを乗せて、かなめの目の前に置かれた。
紅茶好きのかなめも初めて見る種類のアレンジティーだったが、パーカーの小さな黒目は更に小さくなった。
「ストロベリーティーでございます」
「私の好物だ」
「それはそれは。よろしゅうございました」
どうせ調べたんでしょ、と言う言葉を飲み込んで、かなめは紅茶の香りを楽しむ姿が不似合いなパーカーに言った。
「それで、捜査状況は?」
「まぁ待て、そう急かすな。時差ぼけの脳を癒す時間をくれ」
ブルドッグでも嗜好を楽しむことがあるのだな、と思いつつ、かなめも一口啜った。
「……」
甘酸っぱい。
それだけだ。
どうやらピンクの液体はロゼワインのようだが、かなめの口には合わなかった。
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