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綺麗に磨かれた眼鏡をつけて、続けて島崎が渡した新聞に目を通しながら入り口へ移動。



長い廊下や扉にただの一度もぶつかることなく、彼女は新聞を読み進めたまま食事のテーブルについた。



まるで家系の親戚中が集まり会食をするかのような大広間の長いダイニングテーブル。


その真ん中で、少し遅めの朝食をとった。


隣でワイングラスにオレンジジュースを注ぎながら、島崎が連絡をする。



「本日のご予定ですが、11時までは通常業務を。その後パーカー様との対談となっております」



かなめは蜂蜜がたっぷりかかった厚焼き卵サンドにナイフを入れながら言った。



「夜は予定入れないで。パーカーとの話が済んでから決めるから」


「かしこまりました」


「どうせいつもみたいな感じだろうけど」


「今回はどういった事件なのか、楽しみでございますね」


「まぁ、いい暇つぶしよ」



そう。


かなめは仁野家当主というだけでなく、もう一つの仕事を持つ。

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