Darjeeling

-お嬢様、日本へ-

p.2

カリフォルニア州南部の郡都市に、悠々と佇むとある豪邸。



その若き当主である御令嬢の一日は、ある男の一言から始まる。



「お嬢様、おはようございます」


「ん〜…」



低血圧かつ夜行性のお嬢様は、今年で22歳を迎えるが、自力で目を覚ましたことは過去に一度もない。




勢いよくカーテンが開かれ、白い光が部屋全体を眩しく照らした。



屋敷で最も日当たりのいいこの部屋は、まるでダンスホールほどの広さだが、足音は一切しない絨毯ルーム。



愛らしいレースで囲われた、大きなファミリーベッドを独り占めして眠る彼女こそ、





先祖代々続く貿易商と、新たに立ち上げたIT企業の進出により、世界にその名を知らしめた、





仁野財閥のトップである。

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