第86話

「っていうかお二人はまだそういう関係なんですか?」



野宮さんは俺の腕に目をやる。


エリーの手を振り払うと彼女は笑った。



「大丈夫ですよ、アタシ奥さんに告げ口したりしませんから。」




は?なに言ってるんだコイツ。



「君のご希望に添えるネタなんて全くないんだけどね?そろそろ帰るから……」



俺は今度こそその場から離れた。


外に出ると生暖かい風が頬を掠める。


今にも雨が落ちてきそうだった。



「なにあのとんでもないバカは。」



エリーが職員口から出てきた。



「一喝しといてやったわ。」



彼女の言葉に俺は笑ってしまった。



「相手にするなって。エリーはいつも見境なしに攻撃するの変わらないな?」



「仕方ないわ、性格だから。」



エリーは苦笑いした。

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