第34話

「今日から働く四人の専攻医だから。」


「あ…はじめまして、滝川です。」


俺は立ち上がって浅く礼をする。

彼らは順番に俺に挨拶をしてくる。


その中に酷く緊張している女の子を見つけた。



「あっあのっ…の、野宮梨緒です!!じゅ、循環…っ」



「大丈夫だから、そんな緊張しないで?」


俺がそう言うと彼女は何度も頷いた。



「野宮先生は律を追いかけて来たらしいぞ?」



「え?」




父さんは笑いながらそう言った。


俺を追いかけて来た?

彼女を見ると白衣の胸ポケットのペンに目がいく。


それは俺が大学の卒業式で貰ったモノと同じだった――――。

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