第92話

「窓も開けっ放しで、あの女ったら」




「不用心にも程がありますね」




葉山さん達はそんな会話をしながら、教室の中に入ってくる。




ひぇー。入って来ちゃったよ!





いつも冷静な成宮君もその様子に慌てたのか、私の体をさらに引き寄せてギュっと抱き締めてくる。




「な、成宮君……っ」




「静かにしてて?バレちゃうよ」




思わず名前を呼んだ私に、成宮君はそっと耳もとで囁く。




静かにしてて、って言われても!




心臓の鼓動が早まり過ぎてクラクラと目眩がしそうだし。




ドキドキし過ぎて体が熱い。




「成宮君がいないなら残ってても仕方がないわ。帰りましょう?」




葉山さん達は窓を閉めた後、早々と教室を出て行く。

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