第93話

「い、行ったようですな」




扉が閉まる音が聞こえた後、そっと顔を出すと、葉山さん達はもういなくなっていた。




どうやら、気付かれずに済んだらしい。




「そうみたいだね」




成宮君はそう言って、私をさらにギュっと抱き締めてくる。




ギュっと……。




えぇ?!ど、どうして?




葉山さん達は、もう出て行ったのに。




「な、な、成宮君……あの…」




心臓が爆発しそうなんだけど…!




「ドキドキしてるの……?」




「……えぇっ?!」




バレてらっしゃる。




成宮君にドキドキしてるのバレちゃってるよ……!




うぅ……恥ずかしい。

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