第77話

「もう黙れよ」




成宮君は顔を背けたまま、ため息をつく。




名倉め……。




秘伝の技って言うから、どんな技かと思ったら……。




成宮君に効かないんじゃ、意味ないじゃん。




「はいはい。そんなん言うといて実際ほんまにされたら、ケロっと行くくせにー」




「黙れって」




「あっそ。ほな、山崎ほんまにやってみ?絶対、成宮のネクタイ外すシーン見れるで」




な、成宮君のネクタイを外すシーンを?!




さすが名倉様……!




このご恩は、出来る限り忘れません!




「山崎さんがするわけ……」




「してみようかな……」




「……え?」




「おらー!お前ら席に着けー!」




教室に先生が入って来た声のせいで、私の声は書き消されたのか届いたのか分からないまま、話はそこで終わってしまった──。

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