第67話

「緊張感って……?」




「俺、もう行くわ。お前らも早く行けよ?」




お兄は手をヒラヒラと振って、背中を向けると、そのまま階段の方に行ってしまった。




まだ、質問に答えて貰っていなかったのに!




お兄ってば、本当に自由人なんだから。





「俺たちも、そろそろ教室に行こう?」




ボーッとお兄ちゃんの背中を見ていた私に、成宮君はそう言って教室に向けて歩き出す。




「あ、待って……」




私も慌てて成宮君を追い掛けて、隣に並んだ。




……のは良かったけど。




このまま一緒に行くってことは、一緒に教室に入るってことに繋がるんだよね?




大丈夫かな……?




また葉山さん達が怒っちゃいそうな気がする……。




そう不安になりつつ、私は成宮君と一緒に教室に向かった──。

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