第66話

「はい。直ったよ」




成宮君は、私の髪からスッと指を抜くと、恥ずかしそうに顔を背けた。




「成宮君?」




「おーい。美優。今の、時間よ止まれ……ってなに?」




「え?私、そんなこと言った?」




「またかよ! いい加減に、そのポロっと口走るの辞めろって」




お兄はそう言って、心底呆れ返った顔をした。





「なるべく、気をつけてはいるんだけど……」




気持ちが高ぶると、ついポロっと言葉に出ちゃうんだもん。




「はぁー。気合いがたりねーんだよ。しっかり緊張感持てよなー」




お兄ちゃんは、ため息をつきながら私の頭をポンっと叩く。

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