第62話

成宮君、この学校の王子様だもんね。




その王子様のネクタイを結んでたら、注目も浴びちゃうはずだ。




「あれ?美優ー?何してんの?」




「あ、お兄ー!」




私が固まったまま動けないでいると、欠伸をしながら通り掛かったお兄が私を見て目を丸くさせた。




やった!救世主現れた!




これで、痛い視線から免れられるはず。




「おー。妹よー! って、違うだろ。お兄って呼ぶな。俺はお前の兄貴じゃねーよ」




「兄貴じゃん?じゃあ、兄上にする?」




「お!兄上いいねー。ってバカヤロー!兄貴じゃないって言ってるだろ」




眉を潜めたお兄は、私の頭をコツっと叩く。

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