第53話

疑問に頭を悩ませる。




私の手を掴んで黙々と歩いていた眼鏡君は、正門に着くと、振り返って私をじっと見つめてきた。




「あ、えっと……」




な、なにかな……?




「………」




緊張して固まる私を、眼鏡君は黙ったまま見つめてくる。




改めて眼鏡君を見て、確信した。




やっぱりこんなド派手な金髪の人なんて、見たことがない。




あ、でも……よく見ると顔が整ってる。




ちょっとカッコイイかも?




いやいや!そりゃ、成宮君には負けるけど……っ!




と、取り敢えず助けて貰ったお礼を言わなきゃ……。





「あ、見ず知らずの私を助けて頂いてありがとうございました!」




「え?」




頭を下げてお礼を言った私に、眼鏡君は驚いた声を出す。




「あ、その……助かりました!」




「あ、あぁ……」




眼鏡君は素っ気なくそう言うと、下がりかけていた眼鏡を持ち上げた。

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