第6話
しっかりと成宮君に握られたボールペンはクルクルと日誌の上を滑っていく。
いいなー。ボールペンは。
「私もボールペンになりたい」
私がボールペンだったら、成宮君の手をこの瞬間だけでも独り占め出来るのに。
「ボールペン?」
成宮君は急に顔を上げて、私を穴が空くんじゃないかと思うくらいに見つめてきた。
「え……?」
そんな成宮君の行動に全身がドキっと強ばる。
「ボールペンになりたいの?」
そして成宮君にもう一度はっきりと告げられてやっと気がついた。
自分がうっかり口を滑らせてしまっていたことに。
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