第3話

「え?知らないわけないよ。同じクラスなのに」




でも、成宮君は私の予想に反して当たり前のように言い切る。




「そ、そうだよね……」




確かに知らないわけがない。




同じクラスの人の名前くらい知ってて当然だもん。




って、そんなことより会話だよ。




会話…会話……ダメだ。



この先の会話が思いつかない。




シーンと静まり返る教室の中、成宮君は黙って私をジッと見つめてくる。




あぁーもう!



こんなことになるなら、会話シュミレーションをしておけば良かった!





「どうしたの?」




教室の前に立ったままの私を不思議に思ったのか、成宮君はキョトンとした顔で首を傾げる。




「ぐはっ……!」




か、可愛い……可愛い過ぎるよ成宮君!




成宮君の仕草に私の中の母性本能が極限まで擽られる。




駆け寄って、抱き締めて、ヨシヨシしてあげたい……!

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