第75話

川嶋先生は腕を組むと首を傾げる。


「深野さんて……、」


「ああ!なんで川嶋君がパウダールームにいるのよ!」


突然の浅野先生の声に川嶋先生とアタシは驚く。


「なかなか二人が帰って来ないから探してたの。」


「浅野先生、あのっ……」


アタシは言い訳も考えずに彼女に声かける。



「深野さんを口説いてた。」


川嶋先生は動じることなく浅野先生に答えた。

アタシの方が鼓動が早くて苦しくなる。


「変な冗談は止めてよ。さ、そろそろお店出るわよ。」


浅野先生は呆れながらパウダールームを出て行った。


アタシは思わず川嶋先生を見てしまう。


それに気づいた彼は、


「……君はマツより先に俺と寝たよね?それでも彼と付き合おうと思うのかな……俺の口がすべったらどうする?」



川嶋先生はズルい。

アタシが身動きが取れないように誘惑してくる。

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