第73話

「りお……じゃない、深野さん。俺知りたい事があってね?」


川嶋先生からそう言われても答える余裕なんてアタシにはなかった。


「も、もう許してくれませんか?」


「……は?許すって何を。」


そう言った彼の声のトーンが少し下がる。


「あ、あのシーツはちゃんとお店から送ってもらうので住所を……、」


アタシはバッグから携帯を取り出そうとするけれど思うように探し当てる事ができない。


そんなアタシを川嶋先生は見ていたけれどバッグの中の携帯に手が触れた瞬間、彼の手はアタシの頬に触れた。

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