堕天使 10

第46話

検査部の看護師が患者さんの白石さんをベッドに案内している間、アタシはそのエコー機の前に座っている男性技師に声を掛けた。


「消化器外科の白石晴美さんです。主治医が所見を早めに出して欲しいと言われてますのでお願いします。」


白石さんは2週間後に手術を控えた患者さんで、先日のトレッド検査で評価困難でコメントが戻っていた。



「ああ、聞いてます。」


え?


アタシはその声に違和感を覚える。


この声って!?


アタシは薄暗い中、エコー機の隣のパソコンを見ながら返事をしたその人の横顔をじっと見る。


「あ……、」



その人は……川嶋先生だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る