第47話

頭が真っ白になるなんて冗談だと思っていた。


自分の顔の青ざめる感覚が分かる。


「あ、深野さん。白石さんの所見が早く欲しいからって主治医の松木先生がセンターの川嶋先生にお願いしたの。」



「あ……そうなんですか……。」


患者さんの準備ができると検査部の看護師がそう説明をしてくれる。


アタシはそのまま後ずさる。


川嶋先生はアタシの顔を見ることなくベッドに横になった白石さんに声を掛けた。


「内科医の川嶋です。病状は松木医師から伺っています。今から心臓の機能を調べさせて頂きますね。」



彼は、あの時のように……、


アタシに話掛けた時と同じトーンで優しく話掛けていた。

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