第15話

「服、濡れてる。」


そう言われてアタシは自分が着ている上着に触れる。


確かに濡れてはいたけれどそれほど気にならず、少し乾きつつあった。



「これくらい気になりません。か、川嶋さんこそ早く着替えてください。」


川嶋先生に“さん”付けとか緊張するんだけど。


「そう?じゃあお言葉に甘えて。」


彼はそう言って隣の部屋に入って行った。


それを確認するとアタシは長い溜息をついた。


早く帰らないと。


あの川嶋先生と話すだけでも奇跡に近いのに、部屋で過ごすなんて……。



のぼせそう。

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