第9話

出てきたお客を見ることなくアタシは缶ビールを口につける。


すると何か横から見られている気がした。


何よ、女が外で缶ビール呑んで何処が悪いってんのよ。


そう思いながら視線を感じた方を向いた。



そこには、


川嶋先生が立っていた。


えっ!?


アタシは身体が強張ったまま動けなかった。


なんで川嶋先生がアタシを見てるの!?


彼がアタシを知ってるはずがない!


それとも何処かで、食堂とかで会ったりしていた?


ううん、それならアタシが覚えてるはず!


本院で会えたら周りのスタッフに自慢してしまうもの!


とにかく、アタシの頭はアルコールが混じっての大混乱を極めていた。

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