第5話

袋から350mlのビールを出し、プルタブを開けるとアタシはそれに口をつける。


「苦い、」


思わずそう口に出ていた。


ビールなんて飲み会でよく飲むアルコール。

だけど今口にしたそれは、とても苦く感じて全然身体に浸み込んではくれないようだった。



このまま、仕事とマンションの往復なのかな。


同期の繭たちは彼氏がいて有給休暇を取りながら旅行に行ってるのに、アタシは有給休暇を消化する旅行の予定さえない。


おかげで有給休暇は毎年繰り越し。


アタシにはそんな何処かへ連れ出してくれる彼氏に出会った事がなかった。

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