第78話

購入したスーツを見たい、と言うから箱から出す。


「凪、ちょっと地味じゃねーの?そーだな、アクセント欲しいな。」


「波久、いいんだよコレで。俺はジャッジされる場所に行くんだから。」


そう言うと波久はため息をついた。


「……お前が落とされるわけないじゃん。」


「そんなの分からないよ。本当は自分が決めたのに、日が近づいてくると緊張も増してる気がするんだよね。」


「凪は俺よりしっかりしてるから大丈夫なんじゃねーの。なんでもそつなくこなせるじゃねーか。緊張するとかホントかよ。」


そう言って波久は笑った。


「今だから言えるんだけど……幼少の時は、俺波久が嫌いだったよ。」

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