第66話

…………


「へぇ、菜々お前の諭吉は大丈夫なのか?」


目の前にはコース料理が並んでいた。

それも最上級の松。

当日予約は本当はダメだけど、常連の浦崎先生の名前を出したら快くOKが出た。

オトナの世界って……。


「で、両親と凪の日程は決まったのか?」


「……それが、まだ、です。」


浦崎先生はビールをひと口飲むと、


「俺に遠慮してんだろ。どうにもなんねーから好きにしろ。」


「え、でも……、」


浦崎先生は……、


「……正直、気に入らないには変わりない。でもそれは俺の歪んだ感情のせいだ。」


こ、怖い。マトモな事を言っている。

あ、今日は見た事のないピアスをしている。チェーンみたいなのが話す度にユラユラ揺れていて綺麗……、


「おい、菜々聞いてんのかよ?」


「あ、もちろんです!」

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