第64話

忘れていた。

浦崎君はお節介で真面目で、でもちょっと強引な所もあって……ちょっとやらしくて。


私はSEスタッフルームで携帯とにらめっこしていた。

私はひとりっ子で育った。

引っ込み思案な性格で相談相手は友達よりも両親だった。

だから両親との関係は良好なんだけど。

私が浦崎君を紹介したらきっと2人は……気絶すると思う。


大体浦崎君のお試し発言から始まった同居生活なのにそれがもうどうしたら婚約まで!?


「彩さん、どうした?何かトラブルでも起こった?」


山本さんが心配そうに私の顔を覗き込む。


はい、トラブルです。助けてください!

……て言えたらどんだけ楽か。


浦崎君は私を泳がせているようで実はすくい上げようとしているのでは?


これは元生徒会長の計画通りなんじゃないの!?

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