第17話

「え、ちょっと待って菜々、」


私はICUを出てスタッフルームに帰ろうとした。

すると浦崎君が追いかけてくる。


「様子見ならビデオ通話したらいいじゃないですか。わざわざ私が行く必要ないですよ。浦崎君、私は浦崎先生が苦手です。きっと向こうも私のことは嫌いだと思います。」


「でも食べ物とか心配なんだよ。当直じゃなかったら俺が行ってるんだけど。」


浦崎君は小さくため息をつく。

……そりゃ弟の浦崎君が行った方が浦崎先生はすぐ良くなると思うけど。


「お節介なのは自覚してる。でも、」


「浦崎先生は今彼女とか……、」


いたらその人にお願いできないのかな、なんて。


「波久は本気の彼女を作ったの見たことない。」


……でしょうね。

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